医療コンサルタントとは何か?現場に強い伴走型の仕事内容と価値
医療コンサルタントと聞くと「経営改善を助言する専門家」という印象を持つ方も多いでしょう。しかし、現場の状況を理解し、医師やスタッフと二人三脚で課題解決を進める伴走型の医療コンサルタントは、それ以上の存在です。本記事では、医療コンサルタントとは何か、仕事内容や必要なスキル、失敗例とその回避策、報酬の目安まで、看護師とMBA資格保有の医療コンサルタントが解説します。
医療コンサルタントとは何か?
医療コンサルタントとは、病院やクリニックなどの医療機関に対し、経営・運営・人事・マーケティング・業務改善など多岐にわたる支援を行う専門職です。
主な業務内容は次の通りです。
- 経営戦略・事業計画の策定
- 人事・採用戦略の立案
- 新規サービスやシステム導入の支援
- 広告・集患施策の立案と実行
- 法規制やコンプライアンス対応の助言
- 現場オペレーションの改善
医療業界は広告ガイドラインや診療報酬制度など独自の規制が多く、一般コンサルにはない専門知識が求められます。
参考:厚生労働省「医療広告規制に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryoukoukoku/index.html
医療コンサルタントの種類と役割
医療コンサルタントの種類と役割
医療コンサルタントは支援スタイルや専門分野によって複数のタイプに分けられます。ここでは代表的な分類を紹介します。
経営特化型
財務分析や経営戦略に強く、大規模医療法人や病院経営層向けに活動。資金調達やM&Aなど数字を軸に改善を提案します。経営層との戦略会議や事業計画の策定が主な業務です。
現場密着型(伴走型)
現場に入り込み、業務改善・人材育成・新規施術導入など、日常オペレーションに深く関与します。提案から実行まで責任を持つのが特徴で、現場スタッフとの信頼関係構築が不可欠です。私が実践しているのはこの伴走型です。
専門領域特化型
特定の診療科や業務領域に特化したコンサルタントです。
例:美容医療コンサル、在宅医療コンサル、介護・福祉施設向けコンサルなど。
その分野の患者動向や規制に精通しており、専門性の高いアドバイスが可能です。
マーケティング・集患特化型
広告戦略、SNS運用、ホームページ改善、SEO・MEO、口コミ対策など、集患に直結する施策を支援します。医療広告ガイドラインを遵守しつつ、効果的なプロモーションを提案できるのが強みです。
DX・IT特化型
電子カルテ、オンライン診療、予約システム、CRM、AI活用など、デジタル化による効率化を支援するタイプです。業務フロー改善やデータ活用の設計にも関与し、医療機関の生産性向上を目指します。
法務・コンプライアンス特化型
医療法、労務管理、個人情報保護法、医療安全管理体制など、法的リスク対策を専門に行います。訴訟や行政対応を見据えた安全体制の構築も支援します。
当社が実践する伴走型医療コンサルティング
看護師としての現場経験とMBAで学んだ経営知識を組み合わせ、助言だけで終わらない支援を提供しています。
- 医師のスケジュール調整や資料準備
- 新規システム導入時の司会進行とスタッフ研修
- 業者との契約や書類精査
- YouTube動画や広報物の確認や入稿
- 新サービスの企画やプロモーション
- 電子カルテの導入サポート
- 美容医療の導入サポート
クリニックの形態や診療科目によって抱える課題はさまざまです。当社ではまず院長先生へのヒアリングを丁寧に行い、課題の整理と優先順位付けを行います。その上で、課題に対する施策内容、実施の流れ、必要な準備についてわかりやすくお伝えし、目標に沿った計画を立案・実行していきます。
現場を知る強み
理想論だけでは医療現場は動きません。
「医療コンサルタントから『こうしたほうがいい』『このようにすれば売上が〇%上がります』と言われたことはありませんか?」
しかし、「こうあるべき」という一般論と、実際の現場が抱える制約や事情は大きく異なります。
現場経験のあるコンサルタントだからこそ、机上の空論ではなく、実行可能で成果につながる改善策を提案することができます。
医療コンサルタントに必要なスキル
- 医療制度や法規制の知識
- 経営・財務の基礎知識
- オペレーション理解
- 調整力とコミュニケーション能力
- 柔軟性と課題解決能力
- 医療現場の問題点や課題の理解
- 目標にむかって計画実行
医療コンサルタントmizuの1日
午前(9:00〜11:00)
- 院長とのミーティングで、当日の診療スケジュールや経営課題の確認
- 進行中案件の進捗共有(例:新メニュー導入準備、広告キャンペーン状況)
- 業者との打ち合わせ(機器納品日程調整や契約内容の最終確認)
昼前(11:00〜12:30)
- スタッフ教育(接遇研修や新システム操作トレーニング)
- オペレーション改善のため、受付・診療室・処置室の動線を観察し改善点を記録
昼休憩(12:30〜13:30)
- 院長やスタッフと昼食を取りながら、非公式の意見交換や雰囲気の把握
- 午後の業務に向けた資料やプレゼン資料の最終調整
午後(13:30〜15:30)
- 新システム(例:電子カルテや予約システム)の動作確認、エラー対応
- 契約書や見積書のチェック、法務・コンプライアンスの観点から修正提案
- 集患施策の計画作成(SNS運用案、広告出稿スケジュール策定)
夕方(15:30〜17:00)
- 広報物(チラシ、ポスター、Webページ原稿)の確認・修正依頼
- YouTubeやSNS動画の内容チェックと入稿作業
- 翌日の業務計画作成、関係者への連絡共有
終業後(17:00〜18:00)
- 院長への1日の報告と翌日以降の課題共有
- 案件の進捗記録やタスク管理システムへの入力
- 外部パートナーや業者とのメール・チャット対応
改善事例:予約システム導入
あるクリニックでは電話予約が集中し受付が逼迫。オンライン予約システムを提案・導入し、設定やスタッフ教育、患者案内まで担当。結果、電話対応件数が40%減り、受付スタッフの接遇改善にもつながりました。
よくある失敗例と回避策
医療機関の経営現場では、判断ミスや制度理解不足から起きる失敗が少なくありません。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
開業医が間違えやすいお金の使い方3選
例えば「節税が目的化してしまう」「経費だからと見切り発車する」といった判断は、長期的には経営を圧迫します。伴走型コンサルタントは、こうした意思決定の背景や現場の状況を加味し、数字と現実の両面から回避策を提示できます。
他業種コンサルとの比較
医療コンサルタントと一般的な経営コンサルの大きな違いは、医療業界特有の制度理解と現場経験の有無です。
例えばITコンサルはシステム導入や運用改善に強いものの、医療広告規制や診療報酬制度への知識がなければ、現場の実情に適合しない提案をしてしまう可能性があります。
さらに、美容医療業界は流行や患者ニーズの変化が非常に早いため、最新情報を素早く察知し、リサーチする能力も求められます。制度理解と情報収集力を兼ね備えてこそ、現場で成果を出せる医療コンサルタントと言えます。
医療業界で伴走型が求められる背景
- 医療制度改革による経営環境の変化
- 患者ニーズの多様化
- 人材不足と離職率の高さ(参考:厚労省 医療従事者の勤務環境改善)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html - デジタル化の遅れ
これらの課題に対し、経営と現場の両面から支援できる伴走型医療コンサルタントの価値は高まっています。
医療機関が依頼するメリットと注意点
メリット
- 改善策が現場に定着しやすい
- 経営とオペレーションの両面から支援可能
- 院長の負担軽減
注意点
- コンサルタントの医療業界経験を確認する
- 契約内容や業務範囲を明確にする
- 継続的フォロー体制があるか確認する
まとめ
医療コンサルタントとは、経営と現場をつなぐ課題解決の伴走者です。特に伴走型は、提案だけでなく実行まで責任を持つため、改善が定着しやすいのが特徴です。
私は看護師経験とMBAで得た知識を活かし、これからも医療機関の成長を支えていきます。
FAQ
Q. 医療コンサルタントになるには資格が必要ですか?
A. 必須資格はありませんが、医療経験や経営知識が強みになります。
Q. どんな医療機関で依頼されますか?
A. 主に美容クリニックや、保険診療を行いながら美容医療の導入を検討しているクリニックからご依頼いただきます。そのほか、医療記事や専門コンテンツの監修、ヘルスケア関連事業の立ち上げ支援など、医療業界全般やヘルスケア分野のサポートにも対応しています。
Q. 現場業務と経営の両方を依頼できますか?
A. 伴走型であれば、経営面と現場改善の両方を一貫して対応可能です。ただし、診療補助や看護師業務など、医療行為は行いません。現場では主にオペレーション改善やスタッフ教育、業務フローの構築・調整などに関与します。
看護師・MBA(経営学修士)
クリニックの運営支援(経営・マーケティング・人事マネジメント)、保険診療クリニックへの自費診療導入、電子カルテやシステム導入まで幅広く対応。単なる助言ではなく、現場にあわせて伴走するスタイル。
現場もわかる、経営もわかる——その両面の視点で、再現性のある仕組みづくりと長期的な成長を支援します。