コラム

なぜ医療コンサルタントは怪しいと言われるのか?

医療業界で仕事をしていると、必ずといっていいほど耳にする言葉があります。
それは「医療コンサルタントって怪しいよね」「信用できない」という声です。

なぜ、医療コンサルタントという仕事には、こうしたイメージがつきまとうのでしょうか。
ここでは私自身の経験や考えを交えて整理してみます。

医療は高単価かつ専門性が高い領域

医療は人々にとって絶対に欠かせないものです。
しかし同時に、医療サービスは「高単価」かつ「専門性の高さ」が求められる分野でもあります。

このため、知識や現場経験が乏しいコンサルタントが入ると、机上の空論を持ち込んでしまいがちです。結果として「現場感覚がない」「理想論ばかり」という印象を与え、怪しさにつながってしまいます。

役割が不明瞭だから

「医療コンサルタント」とひとくちに言っても、その役割は非常に曖昧です。

  • 融資や補助金のサポートが中心の人
  • SEOや広告などマーケティング寄りの人
  • 経営指導やスタッフ教育を請け負う人

それぞれが「自分こそ正解」とばかりに関与してくるため、現場からすると「本当に信用していいのか?」と不安になるのも無理はありません。

さらに、現場で働いた経験がないコンサルタントも多く、医師やスタッフのリアルな悩みとズレが生じやすいのです。

「コンサルティング業」そのものの社会的イメージ

私は実際に融資の場で「コンサルティング業だと難しい」と言われた経験があります。
これは、コンサルティングという仕事が「形のある商品や設備を持たず、事業の実態が見えにくい」と判断されやすいためです。

無形サービス全般に対して、日本社会には「実態があやふやで信用できない」という空気が漂っていると感じます。医療に限らず、業界全体にある構造的な課題です。

医療現場に本当に必要なのは「医師以外の右腕」

医療は社会に絶対に必要なもの。
しかし現実には、赤字経営で苦しむ病院やクリニックも少なくありません。医師だけが経営改善を背負わされているケースも多く、現場の疲弊は深刻です。

本来であれば、現場を改善できる「医師以外の右腕」が必要です。経営、人材、マーケティングといった領域を担える人材がいれば、医師は医療そのものに集中できるはずです。

右腕は事務局長だけではない

現場では、事務局長が「医師の右腕」として経営を担っているケースも多いでしょう。
ただ私は、このポジションは医療職者でも務まる と考えています。

もちろん事務作業や社会人としてのマナー、PCスキルは必要です。ですが、看護師をはじめ医療職者は 「現場理解」や「患者視点」 を持っている点が強みになります。医師が気づかない動線やスタッフの声を汲み取れるからです。

一方で「医療職は給与が高いのだから、医療に専念した方がいい」という意見もあります。
それも理解できますが、私は 「看護師だから必ず看護師を続けなければならない」 とは思っていません。現場経験をベースに経営やマネジメントに進むことで、医療の持続可能性を高めるキャリアを築くことも可能だと考えています。

特に現場の看護師さんの中には、とても優秀な方が数多くいます。
それなのに、医療現場の体制に疲弊していたり、適切に育成されていない現実があります。ここにもっと光を当て、人材を生かす仕組みを整えることが、医療を持続可能にする鍵だと考えています。

私は金融機関や投資家にも、医師だけでなく「現場を支える右腕」にこそ投資してほしいと強く感じています。

私が医療コンサルタントをやる理由

では、なぜ私自身が医療コンサルタント名乗るのか。

実は「医療コンサルタント」という肩書きに、私自身そこまで強いこだわりがあるわけではありません。
ただ、一般的に認知度が高く、SEOや情報発信の観点でも伝わりやすい。だからこそ、この肩書きを使っています。

なぜこの仕事をやりたいのか

私が医療コンサルタントを続けるのは、シンプルな理由です。

  • 真面目な医師が、悪質な業者にだまされる姿を何度も見てきたから
  • 経営を知らない誠実な医師ほど、経営危機に直面しやすいから

技術も志もあるのに、経営の仕組みを整えられずに医療を諦めてしまう。
そんな光景を何度も目の当たりにしてきました。

だからこそ私は、医師の右腕として「医療を守る仕組み」を整えたい。
それが、医療コンサルタントを名乗り、この仕事を続けている一番の理由です。

まとめ

「医療コンサルタントは怪しい」と言われる背景には、

  • 医療という分野の高単価性・専門性
  • 役割の不明瞭さ
  • コンサルティング業自体への社会的な不信感

といった要素があります。

しかし同時に、医師以外の「右腕」が現場を支えることこそが、医療を持続可能にするために不可欠です。
私はその役割を担う一人として、これからも誠実な医療を広めるサポートをしていきたいと考えています。

この記事を書いた人
古川 瑞紀
合同会社Mizu 代表
看護師・MBA(経営学修士)

クリニックの運営支援(経営・マーケティング・人事マネジメント)、保険診療クリニックへの自費診療導入、電子カルテやシステム導入まで幅広く対応。単なる助言ではなく、現場にあわせて伴走するスタイル。

現場もわかる、経営もわかる——その両面の視点で、再現性のある仕組みづくりと長期的な成長を支援します。